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「人のためになるなら」と、献血に興味を持つ人は多いです。 でも、献血が自分の健康状態を知る、絶好の機会になることはご存知でしたか?
この記事では、献血をすると無料で受けられる血液検査で何がわかるのか。 そして、有料の健康診断と比べてどうなのか、献血のメリットや当日の流れ、最近話題の献血ルームまで、皆さんが知りたい情報をまるごと解説します。
献血の血液検査でわかること
検査結果はいつ、どうやって知れる?
献血後、気になるのが血液検査の結果です。 この結果は、後日郵送されるか、Webで確認できます。
最近は、日本赤十字社の献血Web会員サービス「ラブラッド」での確認が主流です。 献血者カードの情報を登録しておけば、献血から2週間ほどでマイページに結果が届きます。 過去のデータと比較もできるので、自分の健康管理にとても役立ちます。
ラブラッドのメリット
- スマホやPCでいつでも結果を確認できる
- 過去の検査結果がグラフで表示され、推移がわかりやすい
- 次回の献血可能日を自動でお知らせしてくれる
- 献血の予約が簡単にできる
【超重要】献血は「検査目的」ではできません
ここで、ひとつだけ大切な注意点があります。 それは、献血を「検査目的」で利用してはいけない、ということです。
献血の第一目的は、病気の治療などで輸血を必要とする患者さんのために、安全な血液を確保することです。 血液検査の結果通知は、あくまでも献血に協力してくれた方への感謝のしるし、という位置づけです。
特に、エイズ(HIV)検査などを目的とした献血は固く禁止されています。 なぜなら、感染したばかりの時期は、最新の検査でもウイルスを検出できない「ウインドウ・ピリオド」があるからです。
この時期の血液が輸血に使われると、患者さんを命の危険にさらしてしまいます。 そのため、HIV検査の結果は献血者には通知されません。 感染の不安がある方は、保健所などで受けられる無料・匿名の検査を利用してください。
【完全ガイド】献血の血液検査でわかる7つの項目
では、具体的にどんなことがわかるのでしょうか。 主に下の7つの項目について、自分の体の状態を知ることができます。
検査項目 | 基準値の目安 | 何がわかるか |
ALT(GPT), γ-GTP | ALT: 5~45 γ-GTP: 男性80以下, 女性40以下 |
肝機能の状態です。 お酒の飲み過ぎや脂肪肝など、肝臓への負担がわかります。 |
コレステロール(TC) | 140~259 | 脂質異常の指標です。 動脈硬化のリスクなどを知る手がかりになります。 |
赤血球数(RBC)など | ヘモグロビン濃度 男性: 13.0~16.6 女性: 12.1~14.5 |
貧血の有無がわかります。 立ちくらみなどが多い方は特に気になる項目です。 |
白血球数(WBC) | 3500~9700 | 体内の炎症の有無がわかります。 細菌感染などで数値が高くなることがあります。 |
血小板数(PLT) | 13.0万~34.9万 | 血を止める能力に関わります。 ケガをしたときなどに血が固まる働きをします。 |
血圧 | 最高180未満 最低110未満 |
献血当日の血圧です。 定期的に測ることで健康管理に役立ちます。 |
A/G比, ALB | A/G比: 1.1~2.0 ALB: 3.8~5.3 |
体内の栄養状態がわかります。 タンパク質が足りているかなどの指標です。 |
※基準値は日本赤十字社の定める献血の基準とは異なります。あくまで健康状態の目安です。
これらの数値に異常があった場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 病気の早期発見に繋がる可能性もあります。
有料の健康診断と献血の検査、どう違う?
「無料でここまでわかるなら、会社の健康診断は受けなくてもいい?」 そう思う方もいるかもしれません。 ここで、有料の一般的な健康診断と献血の検査内容を比較してみましょう。
有料の健康診断の費用と検査項目
クリニックや検査機関で血液検査を含む基本的な健康診断を受ける場合、 費用はおよそ5,000円~15,000円が目安です。
そして、献血の検査に加えて、主に以下のような項目を調べることができます。
- 詳しい脂質:悪玉(LDL)コレステロール、善玉(HDL)コレステロール、中性脂肪
- 糖尿病関連:空腹時血糖値、HbA1c(過去1〜2ヶ月の血糖の状態がわかる指標)
- 痛風関連:尿酸値
- 腎機能:クレアチニン、eGFR
結論:献血だけで十分?それとも不足?
献血の検査は、肝機能や貧血など、体の基本的な状態を知るには非常に有効です。 しかし、献血の検査だけで健康診断の代わりになるかと言えば、答えは「No」です。
献血は「健康のバロメーター」、健康診断は「体の精密検査」
献血の検査は、定期的に自分の健康状態を大まかに把握する「バロメーター」として最適です。 一方で、健康診断は、糖尿病や痛風、より詳しい脂質異常といった、生活習慣病の兆候を早期に発見するための「精密検査」です。 献血ではカバーできない重要な項目が多く含まれています。
一番賢い使い方は、この2つを「併用」することです。 年に一度の健康診断を基本とし、その間の3〜4ヶ月おきに献血を利用して、体の変化をこまめにチェックするのが理想的と言えるでしょう。
健康診断で「経過観察が必要」といわれたことがある方は、定期的に自費で血液検査を受けなければならないことがあります。
そのために簡易的に検査結果を知りたい、という方は選択肢になるかもしれません。
安全な血液のために。感染症の検査も行われる
輸血用血液の安全性を守るため、献血された血液は厳格な感染症検査も行われます。
- B型肝炎ウイルス(HBV)
- C型肝炎ウイルス(HCV)
- エイズウイルス(HIV)
- 梅毒トレポネーマ
- ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
これらの検査で陽性反応が出た場合は、プライバシーに配慮された形で本人に通知されます。(HIVを除く)
献血のメリットと少し気になる点
献血には、良い点と、人によっては少し気になる点があります。 どちらも知っておくと、安心して献血に臨めます。
メリット
- 無料で詳細な健康チェックができる 会社や自治体の健康診断と合わせて、定期的に自分の体をチェックする良い機会になります。
- 社会に貢献できる満足感 自分の血液が、誰かの命を救うかもしれない。これは何にも代えがたい経験です。
- お菓子や飲み物、記念品も 多くの献血ルームでは、休憩中に飲み物やお菓子が無料で提供されます。キャンペーンなどで記念品がもらえることもあります。
気になる点
- 採血の痛み 針の太さは1.7mmほど。一瞬チクッとしますが、採血中の10~15分間はほとんど痛みを感じない方が大半です。
- 体調不良のリスク まれに気分が悪くなったり、めまいを起こしたりすることがあります。これを防ぐため、献血前には十分な睡眠と食事をとり、献血後はしっかり水分補給と休憩をすることが大切です。
意外と簡単!献血の当日の流れと所要時間
「なんだか大変そう…」と思われがちですが、献血は意外とスムーズです。 全体の所要時間は、受付から休憩終了まで40分~1時間ほどが目安です。
- 受付 本人確認書類を提示し、献血に関する説明を受けます。
- 質問への回答 安全な献血のため、タブレット端末で健康状態などに関する質問に回答します。
- 問診・血圧測定・採血 医師による問診と血圧測定。その後、少量の血液を採って、貧血の心配がないかなどをチェックします。
- 献血 採血ベッドに横になり、献血スタート。かかる時間は400mL献血で10~15分程度です。
- 休憩・水分補給 献血後は、10分以上の休憩が必要です。水分補給をしっかり行い、リラックスして過ごします。
一度は行きたい!最新・人気の献血ルーム
カフェ?ラウンジ?進化した献血ルームの世界
最近の献血ルームは、昔のイメージとは全く違います。 「快適すぎて帰りたくない」という声も聞かれるほど、驚くべき進化を遂げています。
カフェのように落ち着いた空間、展望ラウンジのような絶景、豊富な漫画や雑誌、無料Wi-Fi。 これらはもはや当たり前。 お菓子やアイスが食べ放題だったり、イベントが開催されたりする場所も増えています。
【都内編】おすすめ献血ルーム5選
どこも魅力的な献血ルームですが、ここでは特に人気の高い都内のスポットをいくつか紹介します。
新宿東口献血ルーム 日本最大級の広さを誇り、プライバシーに配慮されたブースが人気。
口コミ:「本当にカフェみたいで、献血に来たことを忘れそうでした。待ち時間も快適です」

- 有楽町献血ルーム ホテルのラウンジのような高級感。窓から新幹線が見えるトレインビューも楽しめます。
口コミ:「ピアノの生演奏があって驚きました。優雅な気分で献血できます」

- 献血ルームfeel(フィール) 東京スカイツリー®︎の10階にあり、最高の景色を眺めながら献血ができます。
口コミ:「景色が素晴らしくて、一種のアトラクションのよう。献血が特別な体験になりました」

- akiba:F(アキバエフ)献血ルーム フィギュアが飾られるなど、秋葉原のカルチャーが詰まったコンセプトルームです。
口コミ:「内装が凝っていて面白い。限定の記念品がもらえるキャンペーンも嬉しいです」

- 東京八重洲献血ルーム 2023年にオープンした新しいルーム。和モダンなデザインで、東京駅を一望できます。
口コミ:「新しくてとにかく綺麗。完全予約制なので待ち時間がなくスムーズでした」

お近くの献血ルームを探すには、日本赤十字社の公式サイトで検索するのが便利です。
まとめ
献血は、誰かの命を救う尊いボランティアです。 それと同時に、自分の体の状態を無料でチェックできる、またとない機会でもあります。
ただし、献血の検査は万能ではありません。 年に一度の健康診断をきちんと受けた上で、献血を「こまめな健康チェック」として活用するのが、最も賢く、そして有意義な方法です。
この記事を読んで少しでも興味が湧いたら、ぜひお近くの献血ルームを調べてみてください。
自分が次に献血できるのは8月です。
今すぐ献血に行ける方、是非ラグジュアリーな献血ルームで優雅なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか?
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