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職場で誰かの出す「音」が気になって、
仕事に集中できないと感じたことはありませんか。
「このくらいでイライラするのは、自分が神経質なだけかも…」
そう思って、我慢し続けている人も多いかもしれません。
実は、この記事を書いている自分も、
過去に3度、自分の出す音で注意を受けた経験があります。
知らないうちに、誰かを不快にさせていたのです。
この記事では、多くの人が悩む「音ハラスメント」の正体から、
今すぐできる具体的な対策までを、自分の体験も交えて解説します。
もう一人で悩むのはやめましょう。
快適な環境を取り戻すための一歩を、ここから踏み出せます。
もしかしてこれって…?「音ハラスメント(オトハラ)」とは
音ハラスメント(オトハラ)とは、
相手を不快にさせたり、仕事の邪魔になったりする
「音」による嫌がらせや迷惑行為を指します。
本人が意図しているかどうかは、必ずしも関係ありません。
受け取る側が「苦痛」と感じれば、それはハラスメントになり得ます。
あなたの周りにも潜む、音ハラスメントの具体例
音ハラスメントには、大きく分けて
「わざと出す音」と「無意識の音」があります。
わざと出す音(意図的なハラスメント)
- 大きな咳払いや、わざとらしい舌打ち
- キーボードを叩きつけるようなタイピング音
- マウスを何度もカチカチと連打する音
- ドアや引き出しを「バン!」と強く閉める
- 貧乏ゆすりで机や床を揺らす音
生活音・無意識の音(意図しないハラスメント)
- 鼻をずっとすする音や、頻繁なため息
- イヤホンからのシャカシャカという音漏れ
- Web会議中に聞こえる、周囲の生活音
- 独り言や、鼻歌
自分の隣の席には、一日中ボールペンを「カチ、カチッ」と
鳴らし続ける人がいました。
本人に悪気はないのかもしれません。
でも、静かなオフィスではその音が妙に響いて、
集中力が途切れてしまうことが何度もありました。
あなたも、似たような経験はありませんか。
【体験談】私も加害者だった?無意識に誰かを不快にさせていた3つの音
「自分は被害者だ」と思っていても、
知らないうちに「加害者」になっているかもしれません。
これは、過去に自分が実際に注意された3つの音です。
私が実際に注意された3つの音
① サンダルで歩く足音
階段を上がっている時、隣を歩いていた人から「サンダルのパタパタっていう足音、結構うるさいよ」と直接注意されました。階下に響いていたわけではなく、足音そのものが不快だったようです。
② 食器の音
お昼休憩中、自分の席で食事をしていた時のことです。静かなオフィスで、瀬戸物の器に金属のスプーンが当たる「カツン」という音が、思った以上に周りの人の耳についていたようでした。
③ キーボードの打鍵音
仕事に集中すると、無意識にキーボードを叩く力が強くなっていました。自分では全く気づきませんでしたが、周りからすると「カタカタカタッターン!」という音が、イライラの原因になっていたのかもしれません。
大切なのは、「このくらい大丈夫だろう」という
自分本位の思い込みを捨てることです。
自分の出す音に少しだけ意識を向けることが、
周りの人への配慮につながります。
その音、ハラスメント?判断基準となる「受忍限度」とは
「でも、どこからがハラスメントになるの?」
「生活音まで注意するのは、やりすぎでは?」
そう思う人もいるでしょう。
そこで重要になるのが**「受忍限度(じゅにんげんど)」**という考え方です。
これは、社会で共同生活を送る上で、
「お互い様」として我慢すべき限度を超えているかどうか、という基準です。
「受忍限度」を超えるかどうかの判断材料
ただ「うるさい」と感じるだけでは、ハラスメントとは言えません。
受忍限度を超えているかどうかは、下の表のような内容を
総合的に見て判断されます。
| 判断材料 | 具体的な内容 |
|—|—|
| 音の種類・大きさ | 不快に感じやすい金属音か、会話の声か
客観的な騒音レベル(デシベル)はどのくらいか |
| 頻度・時間帯 | 一時的なものか、毎日執拗に続くのか
業務に集中すべき時間帯か、休憩時間か |
| 加害者の意図 | 明らかな嫌がらせ目的か、無意識か |
| 業務への支障 | 集中力が削がれる、電話が聞こえないなど
具体的な業務への影響はあるか |
| 被害者の影響 | ストレスで体調を崩したなど
心身に影響が出ているか(診断書など) |
ちなみに、騒音レベルの目安は下の通りです。
一般的に、オフィスでは50dB程度が望ましいとされています。
| デシベル(dB) | 音の目安 |
|—|—|
| 30dB | ささやき声、深夜の郊外 |
| 40dB | 静かな図書館、市内の深夜 |
| 50dB | 静かな事務所、家庭用クーラーの室外機 |
| 60dB | 普通の会話、デパートの店内 |
| 70dB | 騒々しい事務所、電話のベル |
もし、耐えがたい騒音が毎日何時間も続くようなら、
それは「お互い様」の範囲を超えている可能性が高いです。
【被害者向け】今すぐできる対処法と相談ステップ
つらい音を我慢し続けるのは、心と体に毒です。
感情的に反撃するのではなく、冷静に、段階を踏んで対処しましょう。
Step1:まずは自分でできる対策から
いきなり相手を責めたり、会社に訴えたりする前に、
自分でできる工夫を試してみましょう。
ここでは特に強力な自衛策を紹介します。
最強の自衛策は「ノイズキャンセリングイヤホン」
会社に相談しても、調査や対応には時間がかかります。
その間も、不快な音は毎日あなたを攻撃してくるかもしれません。
そんな時に心の平穏を保つ「お守り」として絶大な効果を発揮するのが、ノイズキャンセリングイヤホンです。
これを着ければ、周りの騒音をスッと消し去り、自分だけの静かな空間を作り出せます。仕事に集中できるだけでなく、ストレスも大幅に減らせるはずです。
おすすめのノイズキャンセリングイヤホン
ここでは、多くの人に支持されているモデルを価格帯別に2つ紹介します。
【コスパ重視派に】Anker Soundcore Liberty 4 NC
1万円台前半で買えるのに、上位モデルに迫る強力なノイズキャンセリング性能を持つと評判のイヤホンです。「この価格でこの静けさはすごい」という口コミが多く、初めてのノイキャンイヤホンとして最適です。
- 価格帯:13,000円前後
- 特徴:価格以上のノイズ除去性能、アプリで音質を細かく調整可能
【性能最優先派に】SONY WF-1000XM5
「業界最高クラス」と称されるノイズキャンセリング性能を誇る、ソニーのフラッグシップモデルです。騒がしい場所でも、まるで水の中にいるかのような静寂を手に入れられます。音質も非常に高く、音楽に深く没入したい人におすすめです。
- 価格帯:35,000円前後
- 特徴:圧倒的な静けさ、ハイレゾ対応の高音質、小型軽量で装着感も良い
Step2:客観的な証拠を集める
もし自分で対策しても改善されない場合は、
「いつ、どんな音がしたか」を記録し始めましょう。
これが後で誰かに相談する時に、とても役立ちます。
記録しておきたいこと
- 日時:〇月〇日 〇時〇分頃
- 場所:自分のデスクの右隣の席
- 誰が:〇〇さん
- どんな音を:舌打ちを5回連続で鳴らした
- 頻度:1時間に10回以上など
- 業務への影響:取引先との電話中にされ、内容が聞き取れなかった
- 自分の心身の状態:動悸がした、ストレスで頭痛がする
スマホのボイスメモなどで、こっそり録音しておくのも有効です。
Step3:信頼できる窓口に相談する
証拠が揃ったら、一人で抱え込まずに相談しましょう。
相談先は、社内と社外にあります。
* 社内の相談窓口
* 信頼できる上司
* 人事部や総務部
* コンプライアンス部門
* ハラスメント相談窓口
* 社外の専門機関
* 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局)
* 法テラス(法的トラブルの相談窓口)
* 弁護士
まずは社内の窓口に相談し、それでも解決しない場合は
社外の機関を頼るのがスムーズです。
おわりに
音の問題は、人によって感じ方が違うため、
とてもデリケートで根深い問題です。
被害者にならないための対策はもちろん重要ですが、
自分の体験からも分かるように、
誰もが知らないうちに「加害者」になってしまう可能性があります。
周りの人への少しの配慮が、
職場全体の働きやすさにつながります。
この記事が、あなたの悩みを解決し、
快適な環境で働けるための一助となれば幸いです。
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