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「自分の資産の計算をしてみる」ということで前回の記事では、歴史的な大不況が来ても大丈夫なように、超保守的なリターンで計算してみました。

その結果、「現在のまま積立を続ければh65歳定年なら安泰、でも早期リタイアは厳しい」という結果になりました。
そういった内なる声から、今回は、より現実に即した**「平均的な未来」**を想定して、自分の人生プランを再検証してみることにしました。
この記事では、**「65歳までしっかり働くプラン」と「15年後に57歳で早期リタイアするプラン」**の2つについて、インフレを考慮し、より現実的なリターン(中央値)で計算した場合、本当に必要な資産額がいくらになるのかを、徹底的にシミュレーションした結果をシェアします。
シミュレーションの前提となる「自分ルール」
正確な計算のため、今回は前提ルールをアップデートしました。
使う数字は「中央値」で、より現実的に
前回のシミュレーションでは、歴史的な不況期のリターン(年率4.23%)を使いました。
しかし、通常、不況期は物価上昇は控えられる傾向にあります。
なぜなら、不況気は物が売れづらくなるため、そこに物価をあげてしまったらさらに物が売れなくなり、ますます不況が加速する方向に行ってしまうからです。
そこで基準とするのが、S&P500のインフレ調整後の実質リターンの中央値です。これは、物価上昇分を差し引いても、資産が実質的にどれだけ増えるかを示す数値で、**年率7.71%**というデータがあります。
今回は、この「実質リターン年率7.71%」をすべての計算で使います。
目指す生活レベルは「月50万円(現在の価値)」
リタイア後の理想の生活費として、現在の価値で**「月50万円(年間600万円)」**を設定します。この「購買力」を95歳まで維持できることをゴールとします。
ケース①:65歳まで働く「王道プラン」
まずは、65歳まで働き、その後は年金と資産を取り崩しながら生活する、最も一般的なプランから見ていきましょう。
STEP1:23年後の生活費を計算する(インフレ調整)
今回は、物価上昇を差し引いた「実質リターン」で資産の成長を計算します。そのため、ゴールとなる生活費も、インフレを考えずに現在の価値である年間600万円のままで計算できるのがポイントです。
STEP2:年金はいくらもらえる?
ここは前回と同じです。
自分のこれまでの年収から想定すると、税金や社会保険料を引いた後の手取りで月額約24.6万円(年間約295万円)が見込めそうです。
STEP3:本当に自分で用意すべき金額は?
目標額から年金額を差し引くと、本当に自分の資産から取り崩す必要がある金額がわかります。
- 年間の不足額: 600万円 – 295万円 = 305万円
つまり、65歳からは、自分の資産を運用しながら毎年305万円(現在の価値)を引き出していく生活になります。
STEP4:ゴールとなる「必要資産額」を算出
では、資産を運用しながら毎年305万円を取り崩し、95歳まで資産をもたせるためには、65歳時点でいくらの元本が必要なのでしょうか。
一般的に使われる「4%ルール」を適用すると、必要な資産額は**「年間取り崩し額 × 25倍」**で計算できます。
- 65歳時点の目標額: 305万円 × 25 = 7,625万円
【結論①】このプランは達成できるのか?
現在の資産2900万円と毎月15万円の積立を、実質リターン年率7.71%で23年間(65歳まで)運用し続けた場合、資産の実質価値はどうなるでしょうか。
計算した結果、23年後の資産は約2億6500万円(現在の価値)に達する見込みです。
- 23年後の予測資産額(実質価値):約2億6500万円
- 必要な目標額(実質価値):7,625万円
つまり、この「65歳まで働く王道プラン」であれば、平均的なリターンが得られれば、目標を遥かに上回る資産を築けることがわかりました。
ケース②:15年後に57歳で引退する「早期リタイアプラン」
次に、多くの人が夢見る早期リタイアのプランを、同じく中央値リターンで再検証します。15年後の57歳で仕事を辞め、年金が支給される65歳までは資産だけで生活する計画です。
STEP1:15年後の資産額を計算する
まず、15年後の57歳時点で、自分の資産がいくらの実質価値になっているかを計算します。
現在の資産2900万円と毎月15万円の積立を、実質リターン年率7.71%で15年間運用した場合、資産は約1億3600万円(現在の価値)になります。
STEP2:「年金なし期間」の資産推移は?
ここが最大の難関です。57歳から65歳までの8年間は、年金収入がゼロ。この期間、年間600万円(現在の価値)を取り崩しながら生活します。
ここで驚くべき事実が判明しました。
元本1億3600万円を年率7.71%で運用した場合、年間の運用益は約1048万円になります。
- 年間の運用益(実質):約1048万円
- 年間の取り崩し額:600万円
なんと、取り崩す金額よりも、資産が増える金額の方が大きいのです。つまり、月50万円の生活をしながらでも、資産は減るどころか増え続ける計算になります。
STEP3:65歳時点の資産はいくらになる?
この「資産が増え続ける」状態で8年間を過ごした場合、65歳時点での資産額(実質価値)は約1億8300万円にまで成長している計算になります。
STEP4:65歳以降の生活は成り立つか?
ケース①で算出した通り、65歳以降の生活に必要な資産額は7,625万円でした。
- 65歳時点で残っている資産(実質価値):約1億8300万円
- 65歳以降で必要な目標額(実質価値):7,625万円
結果は一目瞭然。65歳時点で、目標額の2倍以上の資産が残るという、驚きの結果になりました。
【結論②】中央値リターンなら早期リタイアも夢じゃない
前回の「最悪シナリオ」では厳しかった早期リタイアですが、より現実的な「中央値シナリオ」で計算すると、十分に達成可能であることがわかりました。
まとめ:計算で見えた「平均リターン」の絶大なインパクト
今回、2つの人生プランを、より現実に即した「中央値リターン」で計算し直してみて、改めて設定するリターンの数字がいかに重要かを痛感しました。
- 最悪シナリオ(年率4.23%): 65歳定年は安泰だが、早期リタイアは厳しい。
- 中央値シナリオ(年率7.71%): 65歳定年なら資産は目標を遥かに超え、57歳での早期リタイアも十分に射程圏内。
もちろん、将来が必ず中央値の通りになるとは限りません。しかし、歴史的な不況にも耐えられ、平均的な未来なら早期リタイアも可能だということが分かったのは、今後の人生を考える上で非常に大きな自信になりました。
結局のところ、資産運用とは、自分の理想の人生に値段をつけ、その目標に向かって計画的に進むためのツールなのだと改めて感じます。
とりあえずどちらの方向に転んでもいいように、今は淡々と積立を続けていきます。
また5年後、自分の状態を見て改めて方向性を考えてみたいと思います。
皆さんも自分の状態を計算してみてはいかがでしょうか?面白いですよ!


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